この記事では、コロナの時代でも旅をあきらめることなく、感染リスクを減らしながら旅行を楽しむための手段として、「旅行会社」を活用するメリット・デメリットをご紹介します。
筆者は現役旅行会社勤務スタッフですが、プライベートでは「個人旅行」で渡航することも少なからずあり、あくまでフラットな視点で記事を書いています。
その上で結論から言うと、withコロナの旅での「個人旅行」にはそれ相応の準備や危機管理能力、現地での対応力が必要である、というのが個人的な見解です。パンデミック以前には「個人旅行」での自由な旅はむしろ「主流」になりつつありました。ですが、withコロナの時代には「旅行会社」のノウハウやサポート力はとても頼りがいがある存在であるということには間違いありません。
安心できるサポートがあると、旅行中の緊張感は自然にほぐれます。このことはより旅行を楽しむための一要素になるでしょう。そこでこの記事では旅行会社を利用することのメリット・デメリットだけでなく、コロナ禍のどんなシーンで旅行会社のサポートが得られるかというより具体的な視点をご紹介していきます。
またコロナ禍での旅行スタイルの変化、それにあわせた旅行会社の試み、おすすめの旅行会社や保険についても触れていきますので、現在の旅行事情をぜひともチェックしてくださいね!
旅行会社のコロナ対策と影響
新型コロナウィルスの流行は、旅行会社にとっても旅行者にとっても、ひとつの時代の節目・転換期になった出来事だったように思います。その変革の中でつぶれてしまった会社も少なくありませんが、一方で可能な限りの試みで新しい旅のスタイルを模索し続けている会社も多くあります。ここでは、コロナ禍の流れを少しだけご紹介します。
コロナ禍の影響と新事業の取り組み
コロナ禍で大打撃を受けた業界として、多くの人が真っ先にイメージするのが、旅行・観光・航空業界ではないでしょうか。事実大手ほどその損失は大きく、最大手のJTBは7000人以上の人員を解雇、残った社員もボーナスはゼロ、今なお多くの社員が出向中という状況です。
一方で先が見えない暗闇の中、他業種への展開を見せた会社もあり、HISが「そば屋」を出したことはとても驚きでした。その上世界進出を狙っているとのことを聞いて調べてみたところ、十割そばは「グルテンフリー」。
すでに「日本食=ヘルシー」という評価が土台にあり、グルテンフリーの蕎麦であれば小麦のパスタやヌードルに代わる健康的な食品として売ることも、世界中にある寿司屋のオプションとして提案することも出来ます。いつか蕎麦が世界中に受け入れられる日が来るかもしれません!コロナ禍でも夢がある展開だな、そんな風に感じました。
感染対策と新しい旅の形
観光を主な産業とする地域では、ホテル、飲食、アクティビティに携わる多くの会社が経営難、または倒産という状況にあります。賛否両論あったGOTOトラベルですが、本当に厳しい状態にあった地域の方にとっては、救いの手であったことは間違いありません。
その後は次第に国内旅行需要が高まるにつれ、感染対策を視野に入いれたwithコロナの【新しい旅】が模索されるように。従来の観光重視の旅行スタイルよりも、「キャンプ」「グランピング」など手軽で自然を感じる旅の形が好まれ、「温泉」や「ヴィラタイプ」の高級宿でゆったり滞在するスタイルも人気になりました。
また安全のため旅行会社が主催する国内旅行にツアーに参加する方も増えました。自宅から比較的近いエリアの「ドアtoドア」形式のツアーも企画され、車いすや歩行が苦手な方でも旅が実現でき、プライバシーが守れる点でもとても良いと思いました。また貸し切りできる点で強みのあるタクシー会社もドライバーがガイディングするなど工夫を凝らしています。
旅行先として注目されたキーワードは、「世界自然遺産」「エコツアー」です。2021年に奄美大島が世界遺産登録されたことも契機になりました。安心と楽しみの両方を満たす選択として、今後はますます注目されることでしょう!
オンライン活用の取り組み
新しい試みとしては、「オンラインツアー」があります。海外旅行は難しいながら、少しでも非日常を味わう手段として広まりました。オンラインツアーと一言で言っても、様々な企画があり、ガイドと話しながら街歩きをするというのは臨場感があります。
また「クッキング」も面白い企画です。現地の人と一緒に料理をするというのは面白く、最終的に作ったものを「一緒に食べられる」「感想を言い合える」というのが良いですね。住まいが離れていても、興味のある人同士がつながれますし、オンラインの魅力を最大限活用できます。
キャンセル対策とコロナ禍の保険
コロナ禍にあたり、旅行の「変更」や「キャンセル」についても意識が高まりました。旅行会社のキャンセル料の大部分は①すでに発生した人件費・サービス料 ②航空会社・ホテルへの違約金という側面が大きいです。
「まだ旅行に行っていないのに、キャンセル料が発生するのはおかしい」というのは、旅行者にとっては自然な考えです。ただ旅行会社にとっては「旅行は予約をした段階から始まっている」という考え方になり、これもまた自然です。
①に対するキャンセル料について納得しづらい部分もあるかもしれませんが、これを得られなければ、旅行会社は働けば働くほど赤字になってしまいます。社員の労働に対して企業が給与を支払う、そのために顧客から利益を得ることは、必要不可欠なのです。
ただ一方で、キャンセルの際の条件を見直す会社も増えました。重要なのは顧客が「予約前」にキャンセル条件を確認すること、納得の上で予約に進むことで、旅行会社としてはより分かりやすい条件を設置したり、またコロナに特化した「キャンセル保険」での補償を促すなどで対策を取っています。
「キャンセル保険」については以下に詳細記事がありますのでぜひご参考に。
利用するメリット・デメリット
そんなコロナの時を乗り越えて、いま、旅行会社が求められるものとはどんなことでしょうか。旅行会社を利用することの、コロナ禍での具体的なメリット・デメリットを挙げていきます!
旅行会社のデメリット!① 「高い」
旅行会社を使うデメリットは、ひとつは金額的なものです。単純にホテル&交通費のみであれば、大手旅行会社ならお得というケースもあります。ただ追加のアレンジを手配しようと思うと、それが顧客側のオリジナルのプランであればあるほど「高い」。
大手の場合、旅行会社と各ホテル&交通(飛行機・新幹線・バスなど…)には契約があり、たとえば「この期間にこれだけ部屋(席)を売るので、その分安くして、またこの数は空けて(キープして)おいてネ!」と一般販売前に予めの調整が入っています。
旅行会社の仕入れ価格は、実際にホテルのサイトで見る価格と必ずしも比例せず、旅行会社のパイプが太いホテル・交通の方がお得というケースもあります。こうした特権的な、「特別に安くなる仕組み」でカバーできない部分を変更しようと思うと、お値段がアップしてしまうというわけです。たとえば違うホテルに泊まりたい、途中でホテルを変えたい、など。
旅行会社のデメリット!② 「不自由」
国内であっても海外であっても、旅行会社は出来るだけお得なプランになるよう、ツアー企画をしています。これによって、特に海外ツアーでは「行きたいところに行けない」「時間配分が希望に合わない」ということが起こり、より「不自由」を感じさせます。
ただ実際のところ旅行会社が顧客の「イレギュラー」「特別」な希望に対応するためには、それによって起こり得る最悪のトラブルを想定し、その可能性を込みで対応しなければなりません。依頼者が考えるよりもずっと手配が困難というケースも少なくありませんし、手配後の責任は旅行会社にあるため、手は抜けません。準備や手間、言ってしまえば人件費はプラスで生じます。
またイレギュラーな手配は、「特別に安くなる仕組み」からの離脱にもなります。つまり不自由=お得という図式であって、抜け出すにはお金がかかってしまうのです。
旅行会社のメリット!① 「手軽」
では「不自由」である、決まりきったツアーに魅力が無いか、というとそんなことはありません。旅行会社を利用する大きなメリットのひとつは、とにかく「手軽」であということが挙げられます。
国際線、国内線、バス、車、運転手、ガイド、ホテル…特にイタリアやトルコの周遊など、訪問の都市が多いツアーであればあるほど、自力での手配は困難。単純に手配項目が多いというだけでなく、一度トラブルが起きれば計画がすべて崩れるというリスクもあります。
一般の会社にお勤めの場合、連休は長くとも1週間~10日間程度、もっと少ないケースも多々あるかと思います。こうした限られた日数では、決まったツアーは非常に手軽ですし、多くの都市をまわれる点は大きなメリット。団体行動は確かに自由ではありませんが、最大限の効率の良さで、失敗のない旅行が可能です。
個人旅行で同じ旅程を実現しようとした場合、「ホテルからバスターミナルまでの移動時間」だったり、「タクシーへの支払い」や「電車の待ち時間」だったり、ひとつひとつは小さい手間でも、トータルでみれば大きなロスが生じます。決まったツアーではロスや、ストレスも削減されますよ。
はじめての海外旅行はもちろん、高齢のご両親・親戚と一緒、または子連れ旅にも安心。お仕事が忙しく準備ができないという場合にも心強いですね。
旅行会社のメリット!② 「安心・安全」
旅程が決まったツアーというのは、旅行会社が現地事情に深く精通するため、同時に「安全」と「安心」が得られます。たとえばガイドがいれば、道に迷うこともなければ、チケット購入に戸惑うことも、並ぶこともありません。日本語でのサポートがあればより理解も深まりますし、現地のことをより好きになるキッカケにもなります。
また精通というのは、観光についてだけを指すのではありません。その土地土地でトラブルがあった場合の素早い判断、対応、サポートが可能ということを意味します。突然の体調不良でも、「どこで」なのか、「どのくらい」緊急なのかで、対処方法やかかる病院はかわってきます。自分だけでは判別の難しい部分をフォローしてくれますよ。
そして、これはコロナでも同様です。万一現地で感染・発症となった場合、旅行会社は最大限のフォローをします。通常ヘルプデスクや現地緊急連絡先の設定がありますし、加えて旅行保険に加入していれば手厚いサポートが望めます。
withコロナの旅、リアルな問題点と対策は?
では実際にwithコロナの旅にはどのような問題点があるでしょうか。旅行前の注意点や、現地で感染・発症となった場合、どのようなサポートが必要でしょう。
旅行中に感染・発症した場合のフローについては以下でも詳しく解説していますので、気になる方は参考にしてくださいね。
感染状況の変化&情報の更新
withコロナの旅行で特に気を付けなくてはいけないことのひとつが、継続的に情報の更新が必要になる点です。一旦予約が完了してしまうと満足してしまい、「予約から渡航までの変化」が一番の落とし穴になるケースがあります。
状況は絶えず変化しており、その間に「日本の出入国条件」や「現地の感染拡大状況」が変わっていたなど、取り返しのつかないことのないよう注意が必要です。
旅行会社での手配であれば、変化があれば必ず通知がありますし、可能なことは対応してもらえる場合もあります。見落としが無いという意味でとても安心です。
海外旅行での言語的な問題
また現地情報を集める際、言語の問題で「正しい理解」が出来ないというリスクも少なからずあると思います。情報というのは発行元の信頼性が高いもの、つまり一般のブログや個人サイトではなく、政府、自治体、観光局などが提示している「最新」のものをベースにするのが原則。ただこれらの現地サイトでは、日本語の公式表示はほとんど無いというのが現状です。
このため自動翻訳か、任意での翻訳が頼りになりますが、言語や内容によって非常に分かりにくいということも。理解に誤りがあってはいざという時に問題になりますので細心の注意が必要です。旅行会社の発行する情報であれば、その点についても安心してフォローを得られますよ。
コロナ禍で感染・発症した時のフォロー
また現地で万一、コロナに感染・発症となった場合も、言語は大きな壁になります。発症しても無症状・軽症であればまだ対処が可能かもしれませんが、もし高熱の発熱や肺炎症状などが出てきた場合、対応するのはより困難です。
個人旅行の場合は、医療面だけでなく、フライトの延期、ホテルの延泊、食事のデリバリー、予定のキャンセルまで、すべてを個人で行う必要があります。日本語であっても手間がかかる手続きですが、体調不良の中でサポートなしに実現できるかを出発前に検証しましょう。
不安な点がある場合は、旅行会社や保険会社加入がおすすめですし、このことが旅行会社を使う最大のメリットでもありますよ!
保険会社との連携
旅行会社と保険会社は、両者ともにコロナに感染・発症したために生じた日程変更などに対応してくれます。ただ旅行会社は「旅程相談」、保険会社は「補償」という面で特化し、基本的な役割は異なります。
これは言い換えますと、旅行会社は変更によって生じたプラスの代金は、負担してはくれないということ。その場で必要な変更料は請求しますし、顧客は支払わなくてはなりません。ただフライト、ホテル、その後の旅程キャンセルの手続きなどは原則代行してくれます。
保険会社は、旅程の内容によっては代行が難しい可能性があります。ただ延泊で生じたフライト、ホテルの差額分を補償してくれますので、金銭面で心強い存在です。旅行会社と保険会社は、連携させておくことでよりサポートが充実するケースもあります。
保険会社の詳細については以下もご参照くださいね。
キャンセル保険の連携もあり!おすすめ旅行会社
ここでは具体的な「旅行会社のツアー」と「保険商品」が連携したプランをご紹介します。上記でご紹介の通り、より安心なサポートになりますので、渡航の際はご検討ください。コロナ禍以降、初めての旅行に安心をプラス、という考えも良いですね。
近畿日本ツーリスト【コロナお守りパック/国内旅行】
近畿日本ツーリストの国内旅行ツアーを申し込む場合に利用可能。
「コロナお守りパック」という名称で、「国内旅行保険」+「コロナ一時金特約」+「メディカルアシスト」という形態の保険に加入ができます。引受保険会社は東京海上日動ですが、東京海上日動で直接売り出してはおらず、特定の旅行会社向けのパックという形。
ちなみにこのプランは2021年から早々に取り組みがなされており、(失礼ながら)昨今あまり元気がないのかなという印象の「近ツー」だったのですが…。このプランを見た時にさすが老舗だなと思いました。
保険という形でいち早く顧客の不安に応えるというのは、国内旅行に強く、大手で、切り替えの早い体制がなければ、出来ないのではないかと思います。加入に諸条件がありますので要確認ではありますが、こうした姿勢の会社であれば、家族旅行や高齢のご両親への旅行などに、安心ですね!
JTB 【ルックJTB安心パック/海外旅行】
JTBの海外旅行ツアー「ルックJTB」で予約をした場合に、加入可能なパックです。
コロナに特化した「安心パック」は、「キャンセル保険」と「コロナお見舞金制度」+「各専門のサポートデスク」が込みになっており、いまの時代まさに安心のプラン。「海外旅行傷害保険」に別途、追加する仕組みです。
ちなみに「キャンセル保険」とは、旅行前のトラブルにより旅行がキャンセルになった際、発生したキャンセル料を補償するもの。Withコロナの旅行に安心な保険であると同時に、自身や家族の急な不幸、病気、仕事、なども対象内のため、より心強い存在です。特に体調を崩しやすいお子さんがいる場合も助かりますね。詳細やおすすめ保険は以下リンク先をご覧ください。
JTBは業界でも最大手、ツアーはリピーターも多く、信頼性が高いです。その期待を裏切らないサポート力と感じますので、JTBのツアーを利用する場合はとてもユースフル。安心第一の旅におすすめです。
まとめ 海外旅行・国内旅行にプロの対応力を借りよう
いかがでしたでしょうか。
これからの旅行は、いざという時サポートなしでは大変厳しい状況に陥ってしまう可能性があります。withコロナ時代の【新しい旅】に、より安心・安全を求める場合、「旅行会社」はぜひとも力を借りたい存在。
コロナ以降、正式なデータとしても個人旅行の旅行者数は減少傾向、団体旅行は増加傾向と出ており、ニーズの高まりを感じさせますね。
旅行会社側も安価な「団体・グループツアー」だけではなく、ファミリーや友人同士などに向けた「少人数・個人向けツアー」、専用車など利用し内容の充実したVIP待遇ツアーなど、より「自由な旅」が実現できるよう、バリエーションを増やしています。
ちなみに筆者勤務の旅行会社は小さな会社ではありますが、エリアに特化したタイプの会社です。言ってしまえば取り扱いがマニアック。ただ得意のエリアに関しては大手よりも深く広い知識があることを自負しています。行き先次第では専門性の高い旅行会社を選択することも、安心につながりますよ!
少しでも安全安心に、そして楽しくwithコロナ時代の旅を楽しみましょう!
以上、参考になれば幸いです。
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