この記事では、イギリスのウェールズ地方に位置する「カーナーヴォン城」をはじめとする、世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」をご紹介します!
またカーナーヴォン城は、某有名ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」との関連も?
ウェールズの丘陵や美しい城塞を楽しめるエリアというだけでなく、世界遺産として学びのある旅行先でもあり、ジブリの聖地巡礼先としても楽しめるかもしれません!
この記事ではカーナーヴォン城の魅力、行き方、観光について様々な視点で触れつつ、ウェールズの他の世界遺産2件についても簡単にご紹介します♪
ウェールズと「カーナーヴォン城」はラピュタの舞台!?
まるでシータとロボット兵が捕らえられていたあのお城!
「天空の城ラピュタ」その中盤でとても印象的なシーン。心優しいロボット兵がお城の塔で倒れていく、悲しくも心揺さぶられる名場面です!
そんなラピュタのロボット兵や、シータが追いやられる塔のあるお城。実はこのお城のモデルこそ、ウェールズ「カーナーヴォン城」であるとささやかれています。
どっしりとした城塞と特徴的な塔は、いまにもロボット兵が現れそうな迫力を備えています。ジブリ・ラピュタファンにはたまらない観光スポットですよ!
ウェールズはラピュタ公式モデル!
実は、そんなウェールズは「天空の城ラピュタ」唯一の公式モデルです。ジブリ公式サイトにも堂々と記載がありますので、疑う余地はありません!
「カーナーヴォン城」だけではなく、パズーの働く炭鉱もまたモデルがウェールズとされています。世界遺産にも登録され、特に「ブレナヴォンの産業景観」のうちの「ビッグ・ピット国立石炭博物館」は、空から降りてきたシータをパズーが受け止める印象的なシーンにそっくりです!
また地下炭鉱へのツアーも参加できますので、パズーや親方の仕事をイメージできます。ラピュタ好きとしてはぜひとも体験したいところですね。
ブレナヴォンの詳しい記事はこちら↓
ラピュタのモデルは世界遺産が多数
ちなみにロボット兵の城塞やパズーの炭鉱街だけでなく、ラピュタには多くのモデル地やその候補が存在します。そしてそのほとんどが世界遺産にも登録される魅力的な場所ばかり。
ジブリ好きでもあり、世界100ヵ国以上の渡航歴を持つ旅人である筆者の「旅人目線で追求する筆者オリジナル・新しいラピュタ解釈」は以下をどうぞ♪
ラピュタの本当の場所・炭鉱街のモデルなどを、独自に追及しています↓
カーナーヴォン城の国はどこ?特徴と歴史
カーナーヴォン城の国や場所はどこ?
そんなラピュタのモデル「カーナーヴォン城」、国はイギリスに位置します。ロンドンから直線距離で約350㎞、イギリスの中の4つの「国」のうち「ウェールズ」の北部にあり、牧歌的な風景とシーフロントにたたずむ城塞です。
小さな城下町はかわいらしく、観光スポットだけでなく、町の散策や宿泊も楽しめます。ラピュタのお城はもちろん、それ以外でもフォトジェニックなシーンに多く出会うことでしょう!
ウェールズとイングランドの歴史
カーナーヴォンの歴史を紐解いてくと、そもそものエリアの興りは古くローマ時代までさかのぼり、近隣の高台にセゴンティウムという砦跡が残っています。これはアイルランドからの襲撃や海賊から土地を守ることを目的としていました。
現在のカーナーヴォン城はローマ時代の丘のふもとにあり、11世紀後半の砦がもとになったものを13世紀にウェールズへの支配を強める目的でイングランド王エドワード1世が石造りの城塞に建て替えたもの。
長く続いたウェールズとイングランドの攻防では、カーナーヴォン城はまさに争いの最前線にありました。戦火に見舞われつつも修復され、両者の緊張が解ける15世紀まで重要な役割を果たした城塞です。
ラピュタの塔!カーナーヴォン城の魅力と特徴
そんな歴史あるカーナーヴォン城は「ヨーロッパの 13 世紀後半~14 世紀初頭の軍事建築の最も優れた例」として世界遺産に登録されています。
資金の問題から未完のお城ですが、中世の戦略的な砦として、跳ね橋、落とし格子、無数の銃眼(銃を撃つための壁に空いた穴)が設計されていました。
構造的な特徴として、カーナーヴォンは街自体が城壁(市壁)で囲まれており、内部に「8」の形に似た城塞が築かれています。居住跡など中の建造物はほとんど残っていませんが、8つの塔がきれいに残っています。
そしてカーナーヴォン城の8つの塔こそ、まさにラピュタの風景!塔の上は凹凸した特徴的な構造で、訪れた時にはロボット兵とシータの名場面が目に浮かぶよう。アニメを具現化したようなリアリティで、ファンにはたまらない空間ですよ!
世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」
世界遺産とウェールズの「アイアン リング」
世界遺産の登録名にある「グウィネズ」とは、イングランドが征服するまで存続していた「グウィネズ王国」にちなみます。古くローマの5世紀頃から13世紀まであった大国であり、その名称が引き継がれています。
エドワード1世は、このグウィネズ(ウェールズ)を征服のするため、巨額の資金を投じて、地域を包囲するように「アイアン リング(鉄のリング)」と呼ばれる10の城塞を築きました。
世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」には、この10の城塞のうち、カーナーヴォン城を含めて4つのお城が登録されています。ここではカーナーヴォン城以外の3つもご紹介します。
コンウィ城にもラピュタの風景が
3つのお城のうち、カーナーヴォン城に次いで、ラピュタの風景を連想するお城が「コンウィ城」。カーナーヴォン城よりひとまわり小さいお城ですが、シータがムスカに幽閉されたときにそっくりな部屋がありますよ!聖地巡礼にはぜひ訪れたいところです。
実際、コンウィ城にはカーナーヴォン城にはない「部屋」が残っている点は注目されるところです。その一部はイングランドとウェールズで「最も保存状態の良い中世の王家の部屋」とも評されているほどですので、必見です!
ビューマリス城&ハーレック城
崖に面した「ハーレック(ハーレフ)城」の佇まいは、まるで絵葉書のような美しさ。18世紀にはすでに芸術家からの人気を獲得し、この地の観光地化が進んだという経緯があります。直接的なラピュタのモデルでなくとも、その遠景はファンタジーのようですよ!
ビューマリス城は未完のお城ですが、二重の城壁で均整のとれた美しさがあります。海から直接船を乗り入れることができ、軍事的にも優れた設計で、いわば「海の城塞」としてその名を知られています。
世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」は、いずれのお城も魅力的です。ラピュタの風景に限らず、時間が許す場合はいろいろなお城に訪れてみたいですね!
ラピュタの世界へ!カーナーヴォン城への行き方
日本からイギリスへアクセス
カーナーヴォン城への行き方は、まずは日本からイギリスへの航空会社を選択します。おすすめは直行便「ブリティッシュ・エアウェイズ」、または日系の航空会社で所要時間は約15時間。
お得に行きたい場合にはドバイ経由「エミレーツ航空」、アブダビ経由「エティハド航空」、またはアジア乗り継ぎもお得なことが多いですが、非常に時間がかかることがありますので、旅程に余裕のある方向けだと思います。
ロンドンからの乗り継ぎと行き方
ロンドンからは選択肢があり、ロンドン・ユーストン駅からの鉄道を使った陸路と、マンチェスターまで国内線で空路を使う方法があります。
陸路でロンドンからカーナーヴォン城までは所要5時間弱、約150ユーロほど。マンチェスターからカーナーヴォン城までは所要約2時間半、約70ユーロほどです。
ロンドンからマンチェスターまでのフライトは空いていれば1万円以下ですので、乗り継ぎが良ければ便利かもしれませんね。
バンガー駅からカーナーヴォン城までのアクセス
尚、ロンドンやマンチェスターからの鉄道は「バンガー駅」が基点となります。カーナーヴォン城へはバンガー駅からタクシーで15分程度、30ユーロ弱。公共バスだと約30分、3.5ユーロほどです。
ただバスは一般的な路線バスのため、混雑している場合・大きな荷物がある場合は、タクシー利用がおすすめかもしれません。
ちなみにコンウィ城のあるコンウィ駅はバンガー駅よりも3駅手前。ビューマリス城はバンガー駅で下車、カーナーヴォン城とは逆に北に向かいます。ハーレック城は少々行きづらく、カーナーヴォン城から更に南にありバスかレンタカー利用でアクセスします。
ウェールズの世界遺産と観光情報
ローマの世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」
ウェールズには、「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」の他に、2つの世界遺産が存在します。
世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」は、非常に独創的であり、一瞬目を疑うような面白い構造をしています。
19世紀の初頭に建造され、高さが38m(だいたいビル10階くらい)あり、圧巻の水路橋です。そしてその名の通り、上部が「水路」になっています。橋の上を船が通るという、世にも不思議な光景が見られますよ。景色が最高です。
もうひとつのラピュタ!「ブレナヴォンの産業景観」
最初にも触れました通り、ウェールズは「天空の城ラピュタ」の公式モデルです。カーナーヴォン城などお城だけではなく、世界遺産「ブレナヴォンの産業景観」もまたモデルとしてささやかれていますよ!
かつて18世紀のイギリスは、産業革命の真っただ中。産業革命の発端は石炭と蒸気機関の発明・導入であるとされ、このことが人類全体にとって、史上もっとも大きな社会的変動のキッカケとも言える出来事でした。
ブレナヴォンは製鋼と炭鉱の採掘によって、産業を支え、大きく成長した炭鉱街であったということから世界遺産に登録されました。炭鉱の滑車は、ラピュタの中でパズーの働く炭鉱の姿にそっくりです!
ラピュタの風景をめぐるには
せっかくウェールズまで行くのであれば、ラピュタのモデル地や、世界遺産を一気にめぐりたいですよね。
ただカーナーヴォンはウェールズ北部、ブレナヴォンは南部に位置し、残念ながらあまりアクセスは良くありません。イギリスは日本と同じ右ハンドルの国ということもありますので、可能であればウェールズの都市間移動はレンタカーを利用する方法がもっともスムーズです。
公共機関である鉄道を利用する場合、カーナーヴォン最寄りのバンガー/Bango駅~ブレナヴォン最寄りのクンブラン/Cwmbran駅まで、所要4時間強。
世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」はその2都市の間にあり、ルアボン/Ruabon駅で途中下車してアクセスが可能です。世界遺産を網羅する旅、ゆったりとした旅程を計画したい場合にはとても良い中継地点になります。
ウェールズ観光で英語は通じるのか
ちなみにそんなウェールズでは、英語が通じないことがあるとも言われます。独自の言語はぱっと見難解で、読めないということもあります。なぜならイギリスは4つの「国」から構成されており、ウェールズとイングランドはお互いにとって「外国」だからです。
実際、地域から出なければ英語が堪能でなくとも困りません。これはどの国でも同じですね。ただ、観光業に従事する人で英語が話せないということはまずありません!ホテルやレストランでもその点は心配ありませんので、気軽に観光ができますよ。
おまけ カーナーヴォン城ゆかり!?「城プロ」「ツタンカーメンの呪い」
カーナーヴォン城は御城プロジェクト(城プロ)に登場!
余談ですが、「御城プロジェクト」なる「城郭擬人化タワーディフェンスRPG」ゲームに、カーナーヴォン城・コンウィ城・ハーレック城が含まれています。(ビューマリス城も入れてほしかった!)
そのキャラクターデザインがほどよくお城の特徴を捉えていて面白いです。ハーレック城は後世の「バラ戦争」でも舞台になったため、それを意識したデザインになっています。
筆者はお城に詳しいわけではないですが、行ったことのあるお城も少なからずあり、お城たちのビジュアルはとても楽しめました。旅行好きにも楽しめるゲームかと思います!ちなみにウチヒサール城もキャラクターが可愛かったです。ウチヒサールの記事はこちら↓
プリンス オブ ウェールズの意味
ちなみにイギリスの王室で、王位継承権第一位の王子を「プリンス オブ ウェールズ」と呼びます。ここで言うプリンスは「王子」という意味ではなく、「大公」「統治者」という意味。
2022年にプリンス オブ ウェールズだったチャールズ3世が国王に即位、ウィリアム王子がそのあとを継いだことで、注目を集める機会もありました。
これは、もとはグウィネズ=ウェールズの独立国としての最後の王サウェリンの称号を、イングランドが政治的な意図で引き継いだもの。
この地を奪ったイングランドのエドワード1世は、世継ぎエドワード2世をカーナーヴォン城で産ませ、「ウェールズで産まれた」王子としてこの称号を与え、この地を統治しようとしたという逸話があるそうですよ!
カーナーヴォン伯爵とツタンカーメンの呪い!?
エジプトでツタンカーメンの墓を発掘したジョージ・ハーバードは、その爵位「カーナーヴォン伯爵」という名でも知られています。しかし発掘後に亡くなってしまったことで、「ツタンカーメンの呪い」「王家の呪い」として世間を震撼させることに…。
ただイギリスの爵位は、姓または地名・領地名から取られていますが、断絶してしまった場合は、異なる家系に同名の爵位が与えられます。このため直接的に土地と関連がない場合も多いそうです。
爵位の方は「Carnarvon」、地名の方は「Caernarfon」と、スペルも変わっていますので、ツタンカーメンとカーナーヴォン城にはあまり関連はなさそうですね。
まとめ 世界遺産好きにもラピュタ好きにも
カーナーヴォン城でラピュタの風景に出会う
ウェールズの北部には多くの古城が現存し、その姿はラピュタの風景を連想します。特にカーナーヴォン城やコンウィ城では、「あっ、このアングルは!」という気づきも多く、ジブリファン・ラピュタファンにとっては大興奮の旅になるはず。
シータがふとあの呪文をつぶやくシーン、ロボット兵がシータを守るシーン、パズーがシータを受け止めるシーン…それぞれの場面が目に浮かびます。現実とアニメの境にあるような、まるでファンタジーのような世界を感じることができますよ!
世界遺産やお城好きにも!特色あるおすすめ観光地
いにしえの城塞の佇む景観は、日常では決して見ることのできない景色です。ラピュタファンでない人にとっても、きっと感動の旅になると思います!
特にお城が好きな人には、「アイアン リング」の城塞をじっくりめぐる旅もおすすめ。個人的にハーレック城はかなり格好いいと思っています。
またもちろん世界遺産をめぐる旅もおすすめ。ウェールズの魅力を堪能しながら、特色ある世界遺産をまわる旅は、きっと思い出深いものになると思いますよ。
野外の観光は、感染症のリスクも少なく、開放的で健康的。都市のようなせわしなさもなく、心配事の少ない旅行は、時代にも合っています。年齢を問わずおすすめの観光地です!
新しい時代の旅行計画に、宜しければ以下参考にどうぞ♪
コメント