この記事では、イギリスのウェールズに位置し、世界遺産でもある「ブレナヴォン」をご紹介します!
ウェールズはイギリスを構成する4つの「国」のうちひとつ(他は北アイルランド、スコットランド、イングランド)で、かつてアーサー王が活躍したとの伝説も残るイギリスの南西に位置するエリアです。
ウェールズは日本からは遠く、イギリスに訪れたとしても足を延ばす機会はあまりないかもしれません。ですが一方では、「ブレナヴォン」は某有名ジブリアニメのモデルともささやかれており、コアなファンにとっては大注目の観光スポットなんです!
この記事ではウェールズの場所や世界遺産の観光情報、ブレナヴォンへの行き方までご紹介しますので、ぜひとも身近に感じて頂ければと思います!
イギリスの世界遺産「ブレナヴォンの産業景観」
世界遺産に登録されるブレナヴォン製鉄所
世界遺産、すなわち「人類にとって“顕著な普遍的価値”をもつ建造物や遺跡、景観、自然」として「ブレナヴォンの産業景観」は登録されています。
この「産業景観」が何かというと、これはつまり18世紀からの産業革命にまつわる一連の歴史・そのかかわりを示しています。産業革命の発端は石炭と蒸気機関の発明・導入であるとされ、「人類」全体にとって、史上もっとも大きな社会的変動のキッカケとも言える出来事でした。
この当時、世界を牽引したのがまさにイギリスです。ブレナヴォンは製鋼と炭鉱によって、産業を支え、大きく成長した炭鉱街であったというわけです。
「ブレナヴォンの産業風景」の現在の価値
しかし残念ながら、20世紀になって製鋼に次いで炭鉱も終わりを迎え、街は衰退していきます。そんな状況の中で、国内でも保存状態の良いブレナヴォンの炭鉱を保存する動きがあり、炭鉱閉山のわずか3年後(1983年)には観光客向けの施設へと転身をとげます。
そして2000年になり、「ブレナヴォンの産業風景」は価値ある遺産としての保存が決定。「ビッグピット国立石炭博物館」、「ブレナヴォン製鉄所」、「ポンティプール・ブレナヴォン鉄道」を中心に、古い作業場なども含まれた広い範囲が、世界遺産に登録されました。
ヨーロッパ産業遺産の道のアンカーポイント
ちなみにブレナヴォンは、「ヨーロッパ産業遺産の道」というヨーロッパの産業革命にかかわる遺産をつなぐプロジェクトの代表的な基点(アンカーポイント)にも指定されています。
「ヨーロッパ産業遺産の道」に含まれる遺産は、多くが世界遺産にも登録され、歴史的にはもちろん観光地としても注目されています。このうち「ユートピア」を掲げる「ニュー・ラナーク」や、建築的な美しさで知られる「ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群」などは面白く、有名ですよ。
ブレナヴォン製鉄所はラピュタの炭鉱街に酷似!
ブレナヴォン製鉄所はパズーの炭鉱街?
そんな「ブレナヴォンの産業景観」、実は超有名ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」のモデルではないか、ということがささやかれています。
「親方、空から女の子が!」そう言って、炭鉱でパズーがシータを抱きとめるあの名シーン。ラピュタのポスターでも定番のあのカット。パズーの働く炭鉱の風景こそ、ブレナヴォンにそっくりということなんです!
ウェールズはラピュタ公式モデル!
実は、ラピュタのモデルがウェールズだというのは、スタジオジブリ公式のもの。公式Webサイトにもハッキリ記載されていますので、ブレナヴォンも高確率で参考になっているのではないでしょうか!
↓上のウェールズの写真と、下のワンシーンの背景もかなり雰囲気が似ていませんか?
ちなみ炭鉱街だけでなくラピュタには多くのモデル地があり、そのほとんどが世界遺産にも登録される魅力的な場所ばかり。そんなラピュタの本当の場所・炭鉱街のもうひとつのモデルなどを旅人目線で追求する筆者オリジナルの「新しいラピュタ解釈」は以下をどうぞ♪
ビッグピットがすごい!世界遺産の観光ポイント
ラピュタの世界!ビッグピット国立石炭博物館
ビッグピットは、「ブレナヴォンの産業風景」の世界遺産で中心的な博物館です。赤く大きな滑車が備えられており、ひときわ存在感を放っています。このどこか可愛らしい滑車こそ、まるでラピュタに登場する炭鉱のよう!
ちなみにこの滑車は、ラピュタにもあるように炭鉱に資材や人を送ったり引っ張り上げたりするロープを巻き上げるためのもので、「巻き上げギア」というような名で呼ばれます。
またビッグピットの面白い点は、本物の地下炭鉱を見学できるツアーがあること!実際に地下90ⅿまで降り、その時代の鉱夫たちの作業・生活を知ることができます。ラピュタの聖地巡礼としてもとても面白く、パズーの炭鉱での仕事をよりリアルに感じることができる観光スポットです。
パズーの家?ブレナヴォン製鉄所
19世紀、南ウェールズは世界最大の製鉄地域でした。ブレナヴォン製鉄所は当時このエリアで2番目の生産量を誇り、技術的な実験・革新を進め、約100年間にわたり存続しました。現在も炉の跡地が残っており世界遺産に含まれています。
この製鉄所の風景は、どこかパズーの家や、ラッパを吹く屋根と煙突の風景を思い起こさせます。レンガ造りの少し崩れた様子はどこかノスタルジックですよ。
ポンティプール・ブレナヴォン鉄道
ブレナヴォンで採掘された石炭を運ぶための鉄道として敷かれた「ポンティプール=ブレナヴォン鉄道」もまた世界遺産の保存対象となっています。この路線はこの時代のものとしてはイギリスでも特に保存状態が良いとされています。
炭鉱が稼働している時代には、ラピュタの中で乗っているような、トロッコを引っ張って走っていました。いまでも単線で可愛らしい車体が運行しており、夏季をメインに観光列車として乗車が可能です!
ウェールズ・ブレナヴォンへの行き方と地図
日本からのイギリスへの行き方
そんなブレナヴォンへの行き方は、まずは日本からイギリスへの航空会社を選択しなければなりません。おすすめはなんといっても直行便「ブリティッシュ・エアウェイズ」ないし日系の航空会社です。所要時間は15時間ほど。
よりお得に行きたい場合にはドバイ乗り継ぎの「エミレーツ航空」、アブダビ乗り継ぎの「エティハド航空」、またはシンガポールなどアジア乗り換えという選択肢もありますが、所要時間が丸1日程度で、非常に時間がかかる点に注意。
ロンドンからウェールズ地方ニューポートへ
ロンドンからブレナヴォンまでは、可能な場合はレンタカーという選択肢がおすすめです。コツはロンドンの街中ではなく郊外の店舗で借りること。なぜなら街中の事故リスクも低減できますし、混雑に巻き込まれないで済むため時短になります。
公共機関の場合の行き方は、ロンドンより近い「カーディフ空港」や「ブリストル空港」まで飛行機で飛ぶという選択肢もありますが、所要時間の差は1時間程度なので、ロンドンからの鉄道利用がおすすめです。ロンドン「パディントン駅」からウェールズ「ニューポート駅」を目指します。所要大体1時間半。
ニューポートからブレナヴォンへの行き方
ニューポートからは、ブレナヴォンへの行き方はバスが主流。かなり頻繁に運行していますので、移動の心配は不要です。駅から徒歩数分のバス停(マーケットスクエア)から出発します。
バスの番号は「X24」というものですが、同路線には2種類のバスが走っています。シンプルに「X24」と、もうひとつは「Gold X24」。ゴールドの名の通り、車体が金色でちょっと面白いです。ブレナヴォンに行く観光客のための路線として、良い設備のバスになっていますのでぜひとも利用したいところ。
ロンドンからのトータルの所要時間は大体3時間半~4時間となります。
イギリス・ウェールズのその他の世界遺産
やっぱりラピュタ?世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」
ちなみにウェールズ地方には「ブレナヴォンの産業景観」の他にも世界遺産がありますのでご紹介します。
実はこちらの「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」もラピュタに関連するとささやかれる世界遺産であり、美しい城塞の遺構です。登録対象は「ビューマリス城」「カーナーヴォン城」「コンウィ城」「ハーレフ城」の4つ。
これらの古城は見ごたえがあり、ラピュタ好きの方もそうでない方も、ウェールズ・ブレナヴォンまで訪れた際にはぜひともあわせて訪れてみてください!
これはすごい!世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」
この世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」は、非常に独創的であり、一瞬目を疑うような面白い構造をしています。
19世紀の初頭に建造され、高さが38m(だいたいビル10階くらい)あり、圧巻の水路橋です。そしてその名の通り、上部が「水路」になっています。橋の上を船が通るという、世にも不思議な光景が見られますよ。景色が最高です。
英語が通じない?ウェールズ観光情報
ブレナヴォンの宿泊と観光
ちなみにブレナヴォンにはわずかながらのホテルとゲストハウスがあります。世界遺産「ブレナヴォンの産業景観」をじっくり見学したい場合はこのエリアで宿泊することをおすすめします。大体の見どころが徒歩圏内なので、その点も気楽ですね。
ただその気になれば、ロンドンへの日帰りも出来ないことはないと思います。都市であるカーディフやニューポートを起点にして日帰り観光するという行き方もありますし、ブレナヴォン見学後はさらに他の観光地に移動するという選択肢も。
ウェールズ内各所の行き方について
ウェールズ内での移動は、基本的にレンタカーをおすすめします。
ウェールズとイングランドの境界あたりを鉄道が走っており、公共機関を利用する行き方であればこの鉄道に乗車することとなります。ただ出発地と目的地の場所によっては非常に遠回りになります点に注意を。かといってバスはもっと時間がかかります。
たとえばブレナヴォンから、上記でご紹介した世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」まで移動しようと思うと、レンタカーが最短ですよ。
ウェールズは訛っている?英語が通じない?
ちなみにそんなウェールズ、英語が通じないことがあるとも言われますが、これはなかば仕方のないことです。なぜならイギリスは4つの「国」から構成されており、ウェールズとイングランドはお互いにとって「外国」だからです。
ウェールズにはウェールズの公用語があり、地域から出なければ英語が堪能でなくとも困りません。これはどの国でも同じです。「訛りが強い」ということもあまり強調しない方が良いですね。
ただ、観光業に従事する人で英語が話せないということは、まずありません!ホテルやレストランでも発音はともかくとして、その点は心配ありません。
まとめ ブレナヴォン製鉄所でラピュタを検証しよう!
ラピュタの聖地巡礼に
いかがでしたでしょうか。
ここまで世界遺産「ブレナヴォンの産業景観」をご紹介してきました。
ウェールズの旅は、ラピュタファンにはたまらない、そうでなくても面白味のある旅になると思います。
遺跡や都市の遺産に比べても、「産業遺産」と聞くと、どこかとっつきにくいような、一体何がすごいのかよくわからない、という状況になりがちかと思います。
その点からもこのブレナヴォンのように、「ラピュタにそっくり!」「なんだかカワイイ!」と「ビジュアルから入る」というのも素敵なキッカケです!
そんなブレナヴォンを、もしこの記事で少し身近に感じて頂けたなら嬉しいです!
イギリス・ウェールズの魅力
ウェールズはケルト人の国と言われます。独自の文化、神話や物語、音楽や歌を持ち、雄大な自然を擁する魅力ある土地です。アーサー王ゆかりの観光スポットも人気があります。
ちなみに「世界で一番長い駅名」を持つ駅は、ウェールズにあるのをご存じでしょうか?その名も
「Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch」駅で「ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホ」と読むそうです。わけがわかりませんね!
そんなウェールズに、機会があればぜひとも一度訪れてみてくださいね!
新しい時代の旅行計画に、宜しければ以下参考にどうぞ♪
コメント