この記事では、ジョージアの秘境「ウシュグリ村」と、世界遺産「アッパー(上)スヴァネティ」をご紹介します!
ジョージアは隣国のアルメニア、アゼルバイジャンを含めて「コーカサス3国」とも呼ばれていますが、それぞれが独自の文化を保有した特色のある国々。筆者は過去バックパッカーとしてこれらの国々に訪れていますが、魅力的で大好きなエリアですよ。
日本からはあまり身近ではないですが、特にジョージア特有の教会や、山深い風景はドラマチックとさえ感じます。
この記事でご紹介する「ウシュグリ村」は素晴らしい風景とあわせて、某有名アニメのモデルともささやかれ注目されていますので、ぜひとも身近に感じて頂ければと思います!
ウシュグリ村はラピュタのゴンドアに酷似!
シータの故郷ゴンドアにそっくり
ジョージアの「ウシュグリ村」、実は超有名ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」のモデルではないか、ということがささやかれています。といっても「ラピュタ」そのものではなく、主人公シータの故郷「ゴンドア」の風景に酷似ということ!
「ゴンドア」はラピュタの主人公シータとパズーの会話の中で存在が明らかにされ、シータは両親が亡くなったあともそのゴンドアで畑を耕しながら生活していました。そこにムスカが訪れたことで、物語が始まっていきます。
元ネタはなんとラピュタの「アニメ絵本」
そんな「ゴンドア」のモデルということなら、ジブリ・ラピュタファンには聞き捨てならない情報です。実際に調べてみたところ、その風景はラピュタ本編に登場するわけではありませんでした。元ネタは「天空の城ラピュタ 徳間アニメ絵本」。そこにゴンドアの風景が載っています。
公式の絵本ですが、ラピュタの本編でないのはちょっと気になりますね。ただこちらにある「ゴンドア」の風景は確かに「ウシュグリ村」にそっくりなんです!現在もインターネットで買えますので気になる方はポチっと!
ラピュタのモデルは世界遺産が多数
実はゴンドアはいくつもモデル候補がありますが、景観に関しては「ウシュグリ村」はもっとも説得力があります。特に目印になるのが「塔」。ウシュグリ一帯はこの塔が特徴的ですので、これが何なのかということも下の項目でもご紹介します。
ちなみゴンドアだけでなくラピュタには多くのモデル地候補があり、実はそのほとんどが世界遺産にも登録されている魅力的な場所ばかり。そんなラピュタの本当の場所・炭鉱街のモデルなどを旅人目線で追求する筆者オリジナルの「新しいラピュタ解釈」は以下をどうぞ♪
ジョージア国(旧グルジア)の特徴と天気
万年雪のコーカサス山脈を抱く
ウシュグリ村は前記の通り、国は「ジョージア」に位置します。ジョージアは比較的最近までは「グルジア」と呼ばれていましたが、英語読みに変更となっています。
険しい「コーカサス山脈」の南側に位置し、その最高峰はシュハラ山の5,193m!丘陵地帯と高山の美しい風景が特徴的な国です。かつてはこうした山々によって断絶された少数民族が多く生活していましたが、インフラ等が整備され、観光国として外国人を受け入れながら発展。
世界遺産「アッパー(上)スヴァネティ」として登録されたことで、ウシュグリ一帯の景観もまた観光スポットとして注目されています。
訪れるには季節や天気に注意!
ウシュグリ村はジョージアの中でも山が近く、シュハラ山のふもとに位置しています。このためもしウシュグリ村に訪れたい!と考える場合、気を付けなければならないのは季節です。
なんとこのウシュグリ一帯のエリアは10月~4月まで積雪があり、およそ半年もの間、閉ざされてしまいます。十分な安全と、ラピュタの世界を楽しむ旅の満喫のためには6月~8月に訪れるのがベストです。
また年間平均気温は真夏でも16℃!夜は冷えますので防寒が必要です。冬季は容易に通行止めになります。夏以外のタイミングでウシュグリに訪れる場合は、天候も十分に気を付けましょう。
秘境ウシュグリ村への行き方と宿泊
日本からのジョージアへの行き方
そんな秘境ウシュグリ村への行き方は、まずは日本からジョージアへの航空会社を選択しなければなりません。地理的には行って戻る感じがありますが、本数が多く、最も早いのは「ターキッシュエアラインズ」を利用する方法です。トルコ・イスタンブールでの乗り継ぎを含め所要約17~18時間。
よりお得な行き方としてはドバイ乗り継ぎの「エミレーツ航空」、ドーハ乗り継ぎの「カタール航空」という選択肢もあります。また一旦ソウルまで飛んで、ソウルからカザフスタン・アスタナ乗り継ぎで「エア・アスタナ」を利用する選択も。ただいずれも本数が少ないので乗り継ぎには注意です。
首都トビリシからメスティアへアクセス
ジョージアの首都は「トビリシ」。このエリアは標高も高くないので、夏以外でも訪れることは可能です。トビリシは歴史ある要塞や教会が見どころの街ですが、面白いのは地形です。「クラ川」沿いの断崖の風景がおすすめ。
このトビリシを出て、ウシュグリの起点「メスティア」を目指します。トビリシからメスティアまではフライトが週に5回ほどあり、所要1時間程度。ただし悪天候によるキャンセルが大変多く、余裕をもったスケジュール調整が必要です。並行して陸路も想定しておく方が安心かもしれません。
トビリシからメスティアまでの行き方は飛行機の他、ミニバス、タクシー、レンタカー、途中まで列車という選択肢もあります。陸路の場合は大体7時間程度。乗り心地の点では列車がのびのびできるかもしれません。この場合「ズグディディ」という町まで列車でそこからミニバスを利用します。
メスティアからウシュグリ村の行き方
メスティアからウシュグリ村へは、ミニバスで片道約3時間。メスティアからの日帰り観光が可能です。ミニバスは、メスティアの中心「Seti Square」などで拾えるそうですが、これは要確認。ちなみに現地ではこのミニバスをマルシュルートカと呼びます。バスというよりは「乗い合いバン」のような場合も多いです。
ちなみに欧米の旅行者の間では、メスティアからウシュグリまでの間を3泊4日でトレッキングする行程が人気とのこと!世界遺産に保存されるウシュグリの自然の迫力に、胸を打たれると言いますよ。
ラピュタ・ゴンドアの村は宿泊も可能!
ウシュグリエリアにはいわゆるホテルはありません。ただし観光客のニーズに向けて、近年はゲストハウスが増えてきましたので宿泊は可能です。世界遺産として景観にダメージを与えないように細心の注意を払っていますが、「古い村に近代的な設備の建物」ということで、多くの課題と向き合いながら経営しています。
どのゲストハウスもていねいな運営をしている印象で、メスティアからの日帰りも手軽ですが、せっかく秘境ウシュグリ村まで行くのならゆったりした滞在がおすすめです。宿は十数軒ありますので、スケジュールに余裕がある場合はぜひ宿泊を!ラピュタやゴンドアの検証や聖地巡礼もじっくり楽しめますね♪
ウシュグリ村の歴史と復讐の塔
ウシュグリ村の「血の復讐」
世界遺産でもあるウシュグリエリア一帯の住人は「スヴァン族」と呼ばれ、もとは非常に古くから続く民族であると考えられています。文字のない「スヴァン語」を話し、4~6世紀の早くからキリスト教を受け入れました。
そんなスヴァン族の歴史を紐解くと、そこには厳しい自然との共存、共同体としての掟、そして他民族との争いがあります。
スヴァン族は特に掟に厳しく、民族の中で「血の復讐」と呼ばれる、家族や氏族間での争いがありました。これは何らかのトラブルがあった際、一方が不当な扱いを受けたという時に私的な復讐が行われ、報復に次ぐ報復が時には何世代にも渡って続くというものです。
「復讐の塔」とは何?
ウシュグリ村にはその景観を代表するものとして多くの「塔」が建っています。コーカサスの山並みに映えるその姿は壮観なもので、この地方の魅力をより一層引き立てています。
この塔の建てられたひとつの理由こそ、「血の復讐」から逃れるためであったという説があります。私的な報復というのは善悪の前に、家族の感情です。やられたら、やりかえす。やったら、やられる。…怖いですよね。塔はこれを防ぐための建造物という説です。
ちなみに「血の復讐」自体は世界規模で見ると少なからず例があります。ヨーロッパではシチリアなどの南イタリアや、コルシカ、サルディーニャは有名です。その他フィリピン、トルコ、中国などでもあったようですよ。
本来は防衛目的!上スヴァネティの塔
ただ上記はあくまでも一説!これらの美しい塔は、まずはなにより「防衛」の意味が大きいというのが通説です。このウシュグリ村はつまり「防衛」に特化した、半ば「要塞化」した村ということ。
このウシュグリエリアは歴史的に強大な権力は及ばず、周辺民族との領土争いが多かったということがまず背景にあります。土地柄、起伏があり所有地が広かったため、城塞や城壁のような形態をとることはできませんでした。このため小規模な攻撃に備えた「私有の防御」の必要性から、戦略的な塔が建つようになったというわけです。
この塔は防衛目的であると同時に居住スペースにもなっており、単体で建っているものと、住宅に取り付けられているものがあります。高さは大体3~5階建て、2階以上が居住スペース、上階は有事の際に攻撃出来るようになっています。9世紀~12世紀頃に多く建てられたとされます。
世界遺産「アッパー(上)スヴァネティ」とコーカサス山脈
世界遺産としてのウシュグリ村
世界遺産、すなわち「“顕著な普遍的価値”をもつ建造物や遺跡、景観、自然」としてウシュグリ村は登録されています。登録名は「アッパー(上)スヴァネティ」。「スヴァネティ」はスヴァン人の土地ということを意味し、「上」というのは「アッパー」の訳。
この「上」というのは、標高・川の上流を指すと同時に、歴史的にもそのように区分されていました。「上」であるウシュグリ(標高2,100m)に対し、「下」のメスティア(標高1,500m)周辺では、伝統的な家並みが十分な保存状態になかったということで、「上」のみの世界遺産登録に。
メスティアはウシュグリの起点であり、比較的大きな町です。つまり町として「発展してしまった」地域ということ。ウシュグリエリアと比べ塔もあまり残っていません。
ラピュタの景色チャジャシ(チャザシ)
ウシュグリ村は3,000m~5,000m級の山に囲まれ、ヨーロッパの中では最も標高の高い定住地域とされています。チャジャシ、ムルクメリ、シビアニ、チヴィビアニの4つのコミュニティからなり、合計人口は約200人。
コミュニティの中でも「チャジャシ(チャザシ)」エリアは、世界遺産「アッパー(上)スネヴァティ」の中心でもあります。小さな区画になんと200もの塔が残存している特別なエリア。本当にジブリやラピュタのような世界観の、壮大な自然風景が広がりますよ。
背後に迫るコーカサス山脈は、ギリシャ神話では「世界を支える柱」のうちひとつとも言われます。険しくも美しい山脈を抱いた、古の村の景観。訪れた人の心に深く刻まれる、ウシュグリの眺望です。
ジョージアの教会とエマーユ技法
また世界遺産「アッパー(上)スヴァネティ」として、教会やそこに残されていた芸術も価値を認められています。ジョージアでは早くからキリスト教を受け入れていた一方、ウシュグリの古い教会ではキリスト教以前の女神信仰の名残も見られるそう。
独自の変容を遂げたキリスト教とともに、古い写本、イコン、十字架や多様な道具が保存され、ジョージア美術の代表とも言える装飾も残されていました。これは日本の七宝細工にも似ており、エマーユ技法と呼ばれる緻密な装飾です。
これらの文化的価値や美しさが認められ、1996年に世界遺産として登録されました。ウシュグリ村はラピュタのモデルというだけでなく、ジョージアの文化を保存する素晴らしい世界遺産です。
まとめ ウシュグリ村はラピュタ好きにおすすめ
ラピュタにある「ゴンドアの暖炉」を思う
冬に長く閉ざされるウシュグリ村。実はゲストハウスには暖炉が存在する宿もあり、その点もラピュタのゴンドアを思い起こさせます。そんなウシュグリ村の暖炉に、シータの「飛行石」が隠されていたと想像すると、非常にリアルでもあり、ロマンチックでもありませんか?
ウシュグリ村にあるのは現実と物語の境にあるような、日常では決して見ることのできない景色。まさに絵に描いたようなドラマチックな景観です。ラピュタのファンでなくとも、きっと感動の旅になると思いますよ。
ジブリ・ラピュタファンにおすすめ国!ジョージア
冒頭にもご紹介しましたが、ジョージアはじめコーカサスの国々は日本ではあまり知られてはいません。ただ旅することに大きな抵抗感は持たないでも大丈夫なエリアです。筆者は一人旅でしたが、治安の不安は感じませんでしたし、ご飯もおいしく、美女が多いことでも有名です笑
独自の文化というのは本当に美しいもの。ジョージアはウシュグリ以外にも2件の世界遺産を有しています。ジブリ・ラピュタファンはもちろん、そうでない人も機会があればぜひとも一度この美しいジョージアに訪れてみてくださいね!
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