withコロナの時代に、自宅で楽しむ異文化体験。「世界のレシピ」をご紹介します。
今回はエジプト、「モロヘイヤスープ」。
渡航期間で計3年ほど、渡航国数で言えば100ヵ国以上となる筆者です。節約旅だったので渡航中に贅沢なものはあまり食べられませんでしたが、その土地土地で「衝撃的においしい!」と感動するような料理と出会うことも少なからずありました。
もともと苦手意識のあった料理をするようになったのは、(そのメニューのあるレストランがほとんどないため)日本では食べられなかったことが理由。作るしかない…!謎の意気込みで始めてみたのがきっかけです。
このため、海外のサイトを見つつ、様々なレシピを参考にしつつも、「可能な限り現地の味に近いこと」を気にして作っています。
自身の未熟な舌を頼りにしていますが、この「モロヘイヤスープ」は再限度が高いと思いますよ!宜しければ末尾のレシピを参考にしてくださいね♪
エジプト料理で人気なのは「コシャリ」じゃないの?
エジプト一番人気の「国民食」
エジプト料理の中で、国民食とも言われる料理、それが「コシャリ」です。レストランメニューという意味では「ハト」の料理や豆の料理も有名ですが、「コシャリ」は定番のストリートフード。多くのエジプト人にとって、とても身近な存在です。
炭水化物(ごはん)ON炭水化物(パスタ)という、一見カロリーの渦のような内容でありながら、多様なトッピングとソースを混ぜ合わせることで、甘みと辛みと酸味の調和が素晴らしい一品。
フライドオニオン、豆、トマトソースが、食感を豊かにしてくれ、日本人にも刺さる味付けです!
日本でのエジプト料理
そんな「コシャリ」の専門店がなぜか東京・錦糸町にあると聞いて実食してきました。感想は「現地へのリスペクトも、オリジナリティもすごい」ということ!懐かしく、おいしく味わうことができましたので、本場の味を体験したい方におすすめ。
ちなみにさすが専門店、「モロヘイヤスープ」がメニューにあったのは嬉しかったです。ですが、このお店でさえスープの再限度は高くありませんでした…。好みの域でもあるかと思いますが、圧倒的にんにく不足。
自分の求めるモロヘイヤスープは自分で作るしかない、そう思った瞬間です。
そもそもモロヘイヤスープとは?美味しいの?
あまり知られてはいませんが、モロヘイヤスープもまた「国民食」というほどにエジプトで浸透し、レストランや家庭で日常的に食されているメニューです。
筆者自身も行くまでは存在さえ知らずにいましたし、現地でおすすめされたものの、初見は「藻?」というくらい真緑な色にびっくりしました。ですが一口でハマってしまいましたね。
シンプルな味付けに、優しいとろみ、にんにくのパンチ。夏バテの時期にもモロヘイヤの高い栄養価を効果的に摂ることができます。またにんにくを除いて刺激のない味付けにすることで、赤ちゃんの離乳食にも。
現地では健康にも良く、万能で美味しいスープとして、子供からお年寄りにまで愛されています。
クレオパトラも飲んだ?栄養満点のスープ
モロヘイヤスープの歴史とクレオパトラ
そんなモロヘイヤの歴史は古く、そのスープは「クレオパトラが愛したスープ」「クレオパトラの秘密のスープ」などと呼ばれることも。
実際の話というよりはあくまで伝説ですが、クレオパトラの美しさと健康にモロヘイヤが一役買っていたとすれば、なんだかロマンを感じつつも親近感が湧きますね!
尚、文献としては古代ローマのプリニウス(西暦23年~)が「博物誌」の中で言及。エジプトのアレクサンドリアで、すでにモロヘイヤが食用として用いられていたことが明記されています。
もっとも有名なクレオパトラ7世の在位は紀元前51~30年ですから、実際に好んで飲んでいたとしてもまったく不思議はないのです。
モロヘイヤって英語?意味は?
実は「モロヘイヤ(molokheiya)」という名称は、日本語でも英語でもありません。アラビア語です。アラビア語の「ムルキーヤ(Mulukhiyya)」という言葉が語源となり、それが訛ったもの。
「ムルキーヤ(モロヘイヤ)」は歴史上、時の支配者に独占されたことがあります。そのことから「ムルキーヤ」という言葉には、「カリフ(支配者)だけのもの」転じて「王様の野菜」という意味付けがされています。
英語・日本語ではまったく違う言葉!
なんとモロヘイヤは、日本語では実はまったく異なる名称で、「シマツナソ」と言います。更に英語では「ジュート」。あまりにも違うので困惑しますね!
その上、驚くべきことに、種子が有毒です。日本でも家畜が死亡した例があるとのこと。ただし、葉、茎、根などの部位には含まれず、野菜として流通するモロヘイヤの安全性は確認されているということです。
高栄養価!「野菜の王様」
上記でモロヘイヤには「王様の野菜」という意味があることを記載しましたが、一方でその高栄養価から「野菜の王様」といった異名をも持ちます。
支配者やクレオパトラが好んだと言われる背景には、実際に健康効果が非常に高いという王道の理由があった、というわけ。
その実力を、念のため以下に記載しておきます(100gあたりの栄養素)。カロテンとカルシウムはこれまでの固定概念を覆すような数値ですね!
β-カロテン | ビタミンC | 葉酸 | カルシウム | 鉄 | |
モロヘイヤ | 10000μg | 65 mg | 250μg | 260 mg | 1.0mg |
ニンジン | 8500 | 4 | 17 | 32 | 0.3 |
オクラ | 720 | 7 | 110 | 90 | 0.5 |
レモン | 0 | 50 | 19 | 7 | 0.1 |
生しらす | 0 | 5 | 56 | 210 | 0.4 |
以下ではそんなモロヘイヤの鉄板料理、「モロヘイヤスープ」を改めてご紹介します!
にんにく&コンソメで味付け!おすすめ簡単レシピ
にんにくが決め手!簡単スープ 「レシピ」
・モロヘイヤ 1束 ・ニンニク 3片 ・コンソメ 1.5~個 ・バター 10~15g(大匙1 ・水 600cc
茎を取り除く
全体を洗って、茎から柔らかい葉っぱだけを取ります。
細かく刻む
包丁かフードプロセッサーで細かくします。ミキサーは内容量が少ないとうまく機能しない場合があります。最初の茎を除く工程、刻む工程が少し大変。
にんにくを炒める
多めのバターを熱して、すりおろしたにんにくを炒めます。にんにくは、多くのレシピでは1カケとなっており、薄味がお好みの方やお子さんにはおすすめ。ただし本場を感じたい場合3カケは欲しいです。弱火でじっくり、よく炒める。
スープを入れる
そこに水、コンソメを入れて煮立たせる。弱火~中火。コンソメをブイヨンにして塩を入れるという選択肢もあります。
モロヘイヤを入れる
スープの中にゆっくりと刻んだモロへイヤを入れ、混ぜながら煮ます。弱めの中火で5~10分程度。
完成
完成です!
トマト・鶏肉・豆腐・卵・オクラ…アレンジは無限大
今回はもっともシンプルで、定番な一品を記載しましたが、トマト・鶏肉・豆腐・卵・オクラなどを入れても美味しく出来ます。
まとめ 現地でも人気のモロヘイヤスープを楽しもう
いかがでしたでしょうか。
ここまで、「モロヘイヤスープ」をご紹介してきました。
筆者は、エジプトには1ヵ月半ほど滞在したことがあります。カイロは歴史のある古都で、そのモスクの多さから「千の塔の都」とも。
またピラミッドを始めとするエジプト文明の遺産は、歴史的価値、保存状態、見ごたえ、何をとっても世界一だと思っています。砂漠もナイルも素晴らしい。
「人生で1回だけ海外に行くとしたらどこがおすすめ?」そう聞かれたら、(興味にもよりますが)エジプトと答えると思いますよ。
そんなエジプトの風を、ぜひ食卓に運んでみて下さいね♪
筆者はシンプルなモロヘイヤのみのスープが好きですが、エジプトでもお肉を入れる地域・家庭などあります。お好みで追加の食材を入れてみればより栄養価の高い、相乗効果のある一品に仕上がるでしょう!
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